Translate

2017年1月31日火曜日

kotlinでplugin5

KotlinでPlugin開発-5

前回まででコードはできたので、ビルドしてPluginの形式にする。

plugins.config

ImageJのPluginには.classと.jarの2種類がある。.classファイルをPluginsフォルダーに入れれば、そのままファイル名がPlugin名となる。一方、複数のclassを含むような場合は、.jarファイルにまとめてしまう。その際、メインとなるクラスがどれかを指定する必要がある。plugins.configファイルを作れば、どのクラスがメインか、さらにはどのメニューに表示されるかを設定することができる。
plugins.configは、src\main\resourcesに作る。resourcesを右クリックして、[New -> File]を選ぶ。ファイル名はplugins.configとする。



中身はこんな感じ。
Plugins, "test1", jp.yo4.main.test
“,”でパラメータが区切られている。
  • 最初のパラメータはメニューを示す。ここを変えれば(例えばAnalyzeやProcessなど)、そこにPluginが表示されるようになる。
  • 次のパラメータは、メニューに表示される項目名を指定する。”“で囲む。
  • 最後のパラメータは、Pluginとして呼び出されるクラスを指定する。この際、パッケージ名をフルで指摘しないと実行されない。

jarファイルの作成

jarファイルはmavenのlifecycleで指定する。[View -> Tool Windows -> Maven Projects]を選ぶと、右側にMaven Projectsというウィンドウが現れる。ここで、プロジェクト名を展開し、Lifecycleも展開する。複数項目が現れるが、packageが目的のlifecycleになる。


packageを選ぶと、あらかじめpom.xmlに設定したdependencyなどの項目に従ってビルドが始まり、必要なファイルをすべて包含したjarファイルを作成してくれる。作成されたjarファイルは、Projectのtargetフォルダに作られる。あとは、このファイルをImageJのPluginsフォルダに放り込めば完成する。


おわり

KotlinでのPlugin開発は思ったより簡単にできる。今回はnull安全など、Kotlinらしい機能はあまり目立たなかったが、今後は、もっと活用したより大きなPluginを作ってみたい。

(2017/02/01: 少し修正)

2017年1月30日月曜日

kotlinでplugin4

KolinでPlugin開発-4

メソッドの中身を書く-2

run

IntelliJ IDEAが自動生成したrunメソッドは次の通り。
    override fun run(p0: ImageProcessor?) {
        throw UnsupportedOperationException("not implemented") //To change body of created functions use File | Settings | File Templates.
    }
例によってImageProcessorの引数p0はipに変えておく。
ここでは、単純にinvert処理を行う。Javaではシンプルに、
    ip.invert();
とすればよいが、もしipがnullの場合(画像が開いていない場合)はNullPointerExceptionが発生しうる。
実際にはsetupメソッドで画像の有無を確認していることから、もし画像が開いていない場合はrunメソッドまで処理が行くことはないが
したがって、kotlinで同じようにip.invert()とすると
Only safe (?.) or non-null asserted (!!.) calls are allowed on a nullable receiver of type ImageProcessor?
とIntelliJ IDEAに怒られるため、それを回避するようにコードを記述する必要がある。

if文による確認

一番わかりやすいのは、ipがnullかどうか確認することだ。これは単純に
        if(ip != null) {
            ip.invert()
        }
とすればよい。

安全呼出し

null許容型のオブジェクトのプロパティにアクセスする方法として、安全呼出し (safe calls)がある。これは、プロパティの呼出しに.ではなく、?.を使う
    ip?.invert()
もしipの中身がnullの場合、nullを返すがビルドはエラーとならない。kotlinのreferenceによると、この呼び出し方法は連鎖(chain)呼出しの際に有効であると述べられている。
null-safetySave Callsを参照
例えば、もしip1がnullだった場合、
ip1: ImageProcessor? = null
IJ.log("ip1 is " + ip1?.toString())
このコードは、ip1 is nullと返す。

!!演算子

もう一つの方法は、NullPointerExceptionが好きな人(NPE Lovers)用らしいです。null共用型のプロパティを呼び出す際に!!.を使います。
    ip!!.invert()
これはJavaの時と同じような動作をする。もしipがnulの場合、nullPointerExceptionを返す。

どれを使うべきか

状況に応じて、とするべきだろう。!!演算子は、javaと同じよう挙動を示すので、kotlinを使うメリットがあまり感じられない気がする。固いのは条件文でnullかどうかを検証する方法だが、コードが長くなる。でも確実。安全呼出しはchainで使うと有用だよと書かれているが、単発の呼出しは単にnullが来てもスルーする方法にしか思えない。このあたり理解不足か。

runメソッドの中身

こんな感じにしてみた。
    override fun run(ip: ImageProcessor?) {
        if(ip != null) {
            IJ.log("if-check")
            ip.invert()
            imp?.updateAndDraw()
        }
        IJ.wait(1000)

        IJ.log("safe call")
        ip?.invert()
        imp?.updateAndDraw()

        IJ.wait(1000)
        IJ.log("!!")
        ip!!.invert()
        imp?.updateAndDraw()
    }

2017年1月26日木曜日

kotlinでplugin3

KotlinでPlugin開発-3

メソッドの中身を書く-1

PlugInFilterを実装したPluginはsetup(String str, ImagePlus imp)run(ImageProcessor ip)を持つのだった。setupメソッドで解析すべき画像を評価し、runメソッドで解析を行う。まずはsetupメソッドから実装する。

setup

Intelli J IDEAが自動的に作ってくれたコードは以下の通り。
 override fun setup(str: String?, imp: ImagePlus?): Int {
         throw UnsupportedOperationException("not implemented") //To change body of created functions use File | Settings | File Templates.
 }
Javaの場合は、
@Override
public int setup(String str, ImagePlus imp) {
// TODO Auto-generated method stub
return 0;
となる(Eclipseにつくってもらいました)。a0, a1などは、おなじみにのstr, impに変更した。二つのコードを比較するとなんとなく「ははーん」とみえてくる(気がしてくる)。
  1. overrideはJavaにもあった、@Overrideアノテーションみたいなものだが、Kotlinの場合はもっと実際的。kotlinの場合、スーパークラスやインターフェースのメソッドを書き換える場合は、必ずoverrideをつけないといけない。さらに言うと、overrideできるメソッドは、スーパークラスではopenという修飾子をつけて、明示的にoverride可能であることを示さないといけない。
  2. メソッドにはfunキーワードが必要。
  3. 引数の書き方は最近の言語っぽい気がする。str: String?でString型のオブジェクトとしてstrを宣言している。”?”については後で説明する
  4. 宣言の終わりに: Intとしていることから、このメソッドは整数型を返すことがわかる。

Null許容型

先ほどの引数のところで、imp: ImagePlus?との後ろに”?”がついていた。これがkotlinの特徴の一つ、Null安全を実現するための仕組みである。kotlinにはnull許容型非null許容型の二つの型宣言が存在する。null許容型にはnullを格納できるのに対し、非null許容型にはnullを格納することはできない。こうやってわざわざ分けておくことで、非null型にはnullが入らないことを保証し、null許容型はnullが入る可能性があるよ、ということをプログラマに教えてくれる。
そして、null許容型にアクセスするためには、null許容型で宣言されたオブジェクトにnullが本当に入っていないか確かめないといけない。その確認を怠るような書き方をすると、ビルドの段階ではじかれる。そのため、kotlinではnullpointerexceptionが起きる可能性をビルドの段階で除外することができる。
impには現在開いている画像のオブジェクトが渡されるが、もしかしたら画像は開いていないかもしれない。そうすると、impにはnullが渡されることになる。もし画像が開かれていない状態でメソッド内でimpにアクセスするようなコードを書くと、NullPointerExceptionが発生してしまう。そのため、このようにnullが入る可能性がある場合は”?”を型の後ろにつけることでnull許容型として宣言している。
あとでsetupメソッドの中でimpを使いたいので、ここでは次のように書く。
this.imp = imp 
return DOES_ALL
こうかくと、this.impのimpの箇所と、DOES_ALLの部分が赤色で表示される。それは当然impが宣言されていないからである(javaと違い、kotlinではプロパティと呼ぶらしい)。impのところを触ると、”Unresolve reference:imp”と怒られ、左に赤い電球が現れるのでそれをクリックする。すると、”Create member propety”と聞かれるので選択すると、プロパティが自動的に作成される。
private var  imp: ImagePlus?
すると、この行全体に波線が引かれ、ImagePlus?の部分は赤枠で囲われている。カーソルを持っていくと”Property must be initialized or be abstract”と出る。kotlinでは宣言されたオブジェクトは必ず初期化されなければいけない。ここでは、
private var  imp: ImagePlus? = null
と、nullで初期化?しとく。
また、DOES_ALLでも怒られるはずだ。これはクリックすると、”? ij.plugin.filter.PlugInFilter.DOES_ALL? Alt+Enter”と言われるので、言われたままにalt+enterを押すと、
import ij.plugin.filter.PlugInFilter.DOES_ALL
が自動的に書かれる。Javaと違い、プロパティ(Javaでいうメンバ変数)も明示するひつようがある。ワイルドカード”*”を使うことは可能。
次回はrunメソッドの実装を行う。

2017年1月25日水曜日

kotlinでplugin2

KotlinでImageJ Plugin作成-2

Kotlinクラスを作成する

前回までで環境設定が終わったので、Kotlinで早速Pluginの作っていく。画面としては、左にProjectが表示されているとする
  1. 作成したProjectを展開して、src\main\javaまで選ぶ
  2. javaを右クリックして[New -> Package]を選ぶ
  3. Package名を入力する
    • jp.yo4のような感じ
    • Packageは他の同名クラスと区別するためにも必ず設定する
  4. Package名で右クリックし、[New -> Kotlin Class/File]を選ぶ
  5. 名前はtest1などとする。KindはClassを選び、OK
    ここまででこんな感じになっているのではないだろうか?

PlugInFilterを実装する

Javaの場合は
public class Filter_Plugin implements PlugInFilter
としてインターフェースを実装していたが、Kotlinの場合、
class test: PlugInFilter {
とする。

  1. class testの後に: PlugInFilterと入力する。pom.xmlにimagejのdependencyを設定してあれば、途中まで入力すれば候補が現れる
    • 自動的にimport ij.plugin.filter.PlugInFilterも入力される。このあたりがIDEの便利なところ。
  2. class testの部分に赤で波線が表示されている。これは、この箇所に問題があることを示している。
  3. 波線をクリックすると、
Class ‘test’ must be declared abstract or implement abstract member
などと言われる。PlugInFilterは必ずrunメソッドとsetupメソッドを実装する必要があるためである。

  • さらに表示される赤い電球+ビックリマークをクリックする
  • Implement Membersを選ぶ。すると、ウィンドウが現れ、未実装のメソッド(ここではsetupとrun)が出てくるのでシフトキーを押しながら複数選択し、OKを押す
  • その結果、自動的にメソッドが挿入される。
  • class test: PlugInFilter {
        override fun setup(p0: String?, p1: ImagePlus?): Int {
                throw UnsupportedOperationException("not implemented") //To change body of created functions use File | Settings | File Templates.
        }
    
        override fun run(p0: ImageProcessor?) {
                throw UnsupportedOperationException("not implemented") //To change body of created functions use File | Settings | File Templates.
        }
    次はコードを記述していく。

    (2017/01/25 タイトルを少し変更)

    2017年1月24日火曜日

    kotlinでplugin

    KotlinでImageJ Plugin作成-1

    はじめに

    Kotlinという言語がある。Javaと互換性があり、Androidのアプリ開発で使われている。AppleのSwiftになんとなく似てる。Null安全というおもしろい仕組みがある。たとえばJavaで
    ImagePlus imp;
    Roi roi = imp.getRoi();
    とすると、ビルドは通るが実行時にNullPointerException(ヌルポ)が出て怒られる。kotlinで同じ個所を書くとこんな感じになる(と思う)
    var imp: ImagePlus? = null
    var roi: Roi? = null
    
    if (imp != null)
        roi = imp.Roi;
    
    //あるいは
    roi = imp?.Roi;
    なんだかJavaのコードに比べてコード数が倍以上に増えてしまっている。
    • Kotlinでは、nullが代入される可能性がある変数には、?をつけないといけない(1行目、2行目)。
    • nullを参照する際に、if文でnullじゃないことを確認しないとけない(4行目、5行目)
    • あるいは、安全呼び出しとして、.のかわりに?.を使う必要がある(7行目)
    こうすることで、ビルドの段階でnullをはじくことができるため、デバッグが容易になる。 kotlinでImageJのPluginを開発するのはなかなか良いのではないかと思い、作ってみる。

    準備

    (いつものように)形から入る。kotlinを扱う場合、IDEはEclipseではなくIntelliJ IDEAがいいらしい。そもそもKotlinはJet Brains社で開発された言語で、IntelliJ IDEAもJet Brains社が提供しているので相性が良い。EclipseにもPluginはあるそうだが、どうもそれほど使い勝手が良くないらしい(2017.1.23現在。自分では試していません。。。)。ということで、IntelliJ IDEAをインストールする。当然Community Edtion (Free)。

    Intelli Jの設定

    1. Intelli J IDEA
      • 真ん中にあるDownloadを選んで、CommunityをDownload
      • インストールはデフォルト設定で良いと思います。
    2. 初期設定(かなり適当)
      • 起動後、設定を引き継ぐかどうか聞かれるので適当に選択
      • プロジェクトの保存先(Eclipseでいうworkspace)を聞かれるので適当に作成する
      • Create New Projectを選ぶ
        • Check out from Version Controlを選べば、例えばGithubからリポジトリをCloneしてくることも可能(minimal-ij1-pluginとか)。今回は使わない。

    Kotlin + ImageJのプロジェクト作成

    1. Create New Projectを選ぶと、New Projectというウィンドウが出てきて、JavaとかKotolinとかのProjectを作成することができる。ここでは、あえてMavenを選ぶ(後でkotolinにします)
      • Kotlinを選んでからMaven可もできるはずだけどよくわからなかった。。
    2. いろんなarchetypeが出てくるが、ImageJのPlugin開発には関係ない(たぶん)なので、右下の[Next]を選ぶ
    3. MavenでおなじみのGroupid, Artifactid, Versionを入力する
      • Groupidは開発者が属する組織や、個人を識別するドメインを入れる。私の場合はjp.yo4など。ドメインの順は逆なのが通例
      • Artifactidは最終的なプロダクト(.jarなど)の名前になる。ImageJのPluginの場合、必ず名前のどこかにアンダーバー”_”を入れないといけない
      • Versionはお好みで。開発中のバージョンにはSNAPSHOTを入れておく。
    4. Project名と保存場所を指定して[Finish]
    5. そうすると、何もない殺風景な画面になり心配になるのでとりあえずProject Viewを開く。[View -> Tool Window -> Project]
    6. 画面左にProjectが表示される。

    ProjectのKotolin化

    このままではただのMavenのProjectなのでこのProjectをKotlin化する
    1. メニューから[Tools -> Kotlin -> Configure Kotlin in Project]
    2. Single moduleで今作ったProjectを選んで[OK]

    ImageJのdependencyを加える

    いつもはminimal-ij1-pluginをgithubからクローンして設定を書き換えて使っているが、ここでは新規にMavenのProjectを作ったので、手動でdependencyを加えてみる。
    1. pom.xmlを開く
      • すでに開いている場合はそのままでよい。開いていない場合は、Project Viewの自分のProjectを展開してpom.xmlを選ぶ
    2. どこでもいいので[alt + insert]を押す
    3. GenerateというContext menuが現れるので、Dependencyを選ぶ
    4. Maven Artifact Searchウィンドウが開く。ここからMaven Repositoryを選ぶことができる。
    5. 上のフォームに”imagej”と入力する
    6. たぶん3つの候補が得られる。最低限必要なのは真ん中のij:1.xx (xxはバージョン名)
      • imagej-maven-pluginをいれると、ImageJのPluginを開発するときに便利な機能(copy-jars)が使えるようになる。
      • pom-imagejはImageJの様々なライブラリであるBill of Materialsが使えるようになる
    7. とりあえず、真ん中のij:1.51gを入れとく
    以上でKotlin+ImageJ開発環境が整ったので、プラグインを開発していく。

    (2017/01/25 タイトルを少し変更)
    (2017/03/10 Maven Artifact Searchのウィンドウを追加)